在宅部門座談会
──これまでの経歴と、福祉を志したきっかけについてお聞かせください。
鈴木
大学を卒業後すぐに就職はせずに、アルバイトを数か月していたんですよ。就職しなきゃという想いはあったんですが、自分がどんな仕事をしたいのか決められずにいました。そんな時に、母親の知り合いから愛燦会で働いてみませんか? と声をかけていただいて。面接では「まず高齢のデイサービスで働いてみませんか?」と言われ、とりあえずは一週間がんばりますと答えました。
浅野
えっ、たった一週間⁉
鈴木
そう、たった一週間です(笑)。本音は障がいの分野へ行きたかったので、高齢のデイサービスが自分に合わなかったらもう辞めてもいいか、くらいの気持ちでした。 でも、入職して色々とイメージが変わりました。例えば介護って暗いイメージだったのが、いざ働いてみると全然違ったのが印象的でしたね。
杉原
ですよね。愛燦会は本当にみんな明るい。
鈴木
本当に。で、一週間がたって施設長からも「どうですか? 続けられそうですか?」と声をかけられ「うーん。あと一か月やってみます」と答えて、だんだん楽しくなってきて、一か月後には正式に職員として入職することになりました。
浅野
で、それからもう15年経っちゃった(笑)。
鈴木
(笑)。高校生の時から介護・看護に興味があって、将来福祉関係の仕事に就ければという気持ち自体はあったんですよね。で、愛燦会で働いてみてしっくりきたのが理由かな。
浅野
私は専門学校卒で新卒の入職です。専門学校へ進んだのは、この業界で手に職を付けたかったからですね。
もう一つは、もともと私はおばあちゃん子でよく可愛がってもらったというのもあって、年齢を重ねた時にいつかご高齢の方々に恩返しができるかなあと思い、この業界に入ろうと思いました。ですから私はずっと在宅部門のデイサービス担当です。卒業以来だから、もう22年になるのかな? 法人の中で異動はありましたけどね。
杉原
浅野さんはご高齢の方が大好きなんですよね。
浅野
大好きですね。ご高齢の方と関わること自体が楽しいですし、あと学ぶことが多いですね。これまでの人生で様々なご経験をされているので、たとえ認知症であってもおっしゃることは常に論理的だし正論です。学びが財産ですね。
杉原
僕は、前職は理学療法士として医学の臨床現場で10年働いてきました。その中で、僕が見てきた限りではリハビリというものを楽しんでいる方っていうのはほぼいなくて。
鈴木
確かに、きついけどやらなきゃならないから、という方も多いですね。
杉原
そうなんです。僕が福祉業界を志望したのは、デイサービスなら生活期と呼ばれる退院後の生活やリハビリも楽しくできる可能性があるな、と思って。それはデイサービスの雰囲気も含めてなんですけど。ご自宅からデイサービスセンターに来ておこなうリハビリが、デイサービスの楽しい雰囲気の中でなら、自分自身も楽しいリハビリが提供できるんじゃないかなと。それに携わってみたいと思ったことがきっかけです。
──在宅部門を管理する皆さんですが、地域密着で運営している法人だからこそ感じる良い点、難しい点はありますか?
杉原
僕が感じる良い点は、ご利用者さん同士、または職員とご利用者さんに、地域密着だからこそ地域ならではの共通の話題が多くあって打ちとけやすいという点ですね。また地域の情報共有・情報交換の場にもなっています。たとえば今日あそこでお祭りがあるよ、とか。
難しい点は、良くも悪くもなんですが口コミによる影響を受けやすい点ですね。
浅野
確かに、地域に根付いているということで口コミの影響力は大きいですね。「ここはサービスが良い」と誰かに聞いたらすぐに飛び込んで来てくれる。
鈴木
だからこそ人との関係性はとても大事なのだと思います。信用がなくなってしまうと仕事がまったく成り立たなくなってしまいます。だから一人一人を大切に、真摯に、丁寧にという気持ちが強くなります。
他にも良い部分としては、在宅部門でいうと地域のケアマネージャーさんと触れ合う機会が多いんですけど、地域密着ゆえに密に連携が取れるというのはありますね。
浅野
そんなに顔ぶれが変わらない、ということはメリットかもしれないですね。
──管理職ならではのやりがいはありますか?
杉原
事故がない安全な運営をするために情報を精査し、正しい判断や決断をすること。正しい情報を正しい場面で伝えること。まずこれが管理職のすべきことだと考えています。
その上でのやりがいは、やっぱり自分の成長を感じられることですね。責任もあり、大変なことも多々ありますが、それらは管理職だからこその課題ばかりです。例えば、職員同士のトラブルがあって、どう介入してどう収めるか。どちらの言い分も聞きながら精査して、公平に、双方が納得ゆくかたちで収める必要があります。
課題に取り組み対応することで、日々貴重な経験を積ませていただいていると感じます。
浅野
成長は確かにありますね。加えて、私は事業としての年度の方針を決めることの大切さを痛感しています。決めるためには、今の社会情勢の方向性を読み取り、情報収集も踏まえて現状から軌道修正する必要があります。
決めた方針を発信するにしても大事で、発信の仕方で間違ってはいけないし。
杉原
人を動かす立場としてね。
浅野
そうですね。「伝えること」と「伝わること」って別です。こちらの思惑と受け取り側のキャッチボールがうまくいかないこともあるので。その人に合わせて言わないといけないしね。人を見極め、人に合わせることは大変です。
やっぱり、自分の発言で人が動くということには大きな責任を感じますね。情報を精査して、伝え方を考えて、現場で動いてもらう。人間関係も色々あるので、トラブルが発生したらすぐ手を打つ。話し合いの場を作ったりとかね。人間同士、一生懸命働いているからこそトラブルだってありますよ。
でも一人ではなく、チームで動くので。チームをいかにうまく一つにまとめ、達成させるかということに集中しています。
鈴木
素晴らしいと思います。やはり責任を負うことの大切さ・大変さですね。
職員のこと、ご利用者さんのこと、どんなことにも責任はあって、そのすべてにおいて責任を負うことが一番大事なのかなと。
鈴木
そういう立場だからこそ、管理職は人に頼られたり、意見を求められます。それは単純に嬉しいですね(笑)。
あとやりがいとしては、浅野さんがおっしゃった通り施設長と話し合いながら方針を管理職として決めていくのですが、自分の決めた方針が、うまく行った時は「やっぱりこれで合っていたんだ!」って思うとよしよし! って思ってやりがいを感じますね。
杉原
それすっごくわかります(笑)。
──ワークライフバランスと、今後のキャリアについてはどうお考えですか?
杉原
僕自身まだ子供が小さいので、今後子どもとの時間はしっかり作っていきたいと考えています。
子どもって本当に体調を崩しがちなんですよ。急な熱とか、保育園行っていてもすぐに帰されたりとか。そうなった時、デイサービスってその日の人がパッと抜けにくいんですよね。ご利用者の数に対する職員の数も決まっていますから。その中で色々調整が必要だったりするので。
課題はまだまだありますが、でも工夫次第でやれることはありますから、子育て世代の方も働きやすい職場環境を僕達自身が作っていきたいと思っています。
浅野
私は4月に育休から復職する予定なんですが、周りの先輩達に聞いても「子どもはすぐに熱出すよ」とか「保育園からすぐ帰されるよ」とかよく聞きます……。
鈴木
しょっちゅうですよ。風邪が治ったと思ったら、また次の週から別の風邪ひいたりしますから(笑)。
浅野
ほんとに⁉ まあでも復帰は決まっているので、今の内から親とか頼める人に段取りしているんですけどね。周りの協力あっての復帰かなと。
まずは時短勤務からはじめて、レギュラーの時間にゆっくり戻していく、というのを今の目標にしています。
鈴木
僕も杉原さんと同じで、まだ子供が小学生なんですが、少しでも一緒にいる時間を持つためにある程度融通の利く高齢・障がいの分野で働いて経験を積もうを考えています。子供が成長するにしたがって自分にもやれることが増えて来るし、それにつれて「子どもと接すること」についての経験も深まっていくと思うんです。
杉原
経験を積んで、次は志望されていた障がいの方へ行くんですか?
鈴木
そうですね。子育てがひと段落したところで、その経験を活かしながら障がいの分野を経験したいし、児童の分野でも働いて、最終的には総合的に福祉を学びたいと思っています。
浅野
ステップアップしたいと考えた時に、その環境が整っている愛燦会は魅力的ですよね。私も今は高齢者の分野を担当していますが、結婚し子どもを生み育てるという経験を積んだあと、もしかしたら児童の分野に進みたいと思うかもしれない。
杉原
児童・障がい・高齢者の福祉事業だけではなく今はクリニックや訪問看護という医療福祉にまで幅広くサポートできる体制が整っていて、本当に事業の多様性が高い法人だと思います。
職員にとっても多くのことを学びたい、経験したいという方にはおすすめですね。